対象:高品質な仕事を提供したい方 
効果:高品質を実現するための「人材」について「能力(継続)」の視点から理解できます

 今回も、高品質を実現するための「人材」についてです。
 前回では、採用希望者に求められる重要な能力として、「工夫」する資質の有無をどうすれば判定できるかについて考えました。今回は、「継続」する資質の有無の判定について考えてみたいと思います。

 何かをし続けられる能力は、一見地味ですが実は凄い力です。超一流に成るために欠かせない資質です。大業はこの能力無しには成し遂げられないかと思います。なぜならば、大業とは小さいことの膨大な蓄積によって成り立つからです。また、この資質に優れた人材は意外と少ないのではないでしょうか。ですから、「継続」の資質を持った人材を採用できたならば、会社にとって非常にラッキーです。

 では、「継続」の資質の有無をどう判断していけばいいかですが、
   ・これまで継続してやり続けたことについて
   ・会社で継続し続けていきたいと思うこと
などについて質問するのが有効かと考えます。

 「これまで継続してやり続けたことについて」は勉強や部活に限らず趣味でも何でも構いません。何かを長期間やり続けることができるということは「継続」する資質が高いということであり、仕事と継続できることが合わないということも考えられますが、会社の業務にその資質を適応できる可能性があります。

 「会社で継続し続けていきたいと思うこと」ですが、ここで語られることが実際の業務で継続していけるかは採用試験の段階では判断できません。ただ、現段階では意志があるのであり、その仕事自体の資質があるかどうかの判定は必要ではありますが、後は信じて実践してもらっての判断かと思います。

 採用試験における質問方法ですが、「仕組み(18)高品質⑨高品質を作り出す「人材」とは(熱意)」の記事の中で、「これまで、熱意を持って取り組んできたことについて語って下さい。自由にどのようなことでも結構です。話の内容が前後しても、たどたどしくても構いません。この問いに関しては、上手に話すことは重要ではありません。私たちにはそのことについて語られる内容がとても重要です。じっくり聴きたいと思います。」と問うことで、
  ・「自由にどのようなことでも」ということで本当にワクワクすることを語れる
  ・「話の内容が前後しても、たどたどしくても構いません。この問いに関しては、
   上手に話すことは重要ではありません」と前置きすることで、話下手であっても
   落ち着いて話せる場を提供できる
  ・「私たちにはそのことについて話される内容がとても重要です」ということで、
   自分の存在を尊重されたような気持ちになり、より自由に話せる雰囲気を提供
   できる
  ・「じっくり聴きたいと思います」ということからも尊重された気持ちになり、
   また落ち着いて話せる場を提供できる
  ・結果、本当の熱意がある場合は、語ることにワクワクする可能性があり、
   その内容や表情、声のトーンなどから真に熱意があるかを判断できる
とお伝えしましたが、同じように「これまで、熱意を持って取り組んできたことについて」の部分を前回の「工夫」や今回の「継続」に関する質問に置き換えて問いかけると、その資質の有無について、もちろん完璧であることはあり得ませんが、より真実に近い判定ができるのではないかと考えます。

 あと、特に新卒採用の場合、学生時代では特に何かを工夫したり継続することもなかったが、社会人になってから資質が開花することがあります。例えば、「勉強やスポーツ、部活は実利と関係がないので興味が湧かないけど、仕事はそれに直結するからやりがいを感じる」という価値観の持ち主です。その場合は、エピソードから判断することは難しいかと思いますが、工夫や思考することが好きか、困難を工夫によりどう乗り越えるか、会社で継続し続けていきたいと思うことなどについてじっくり話を聴き見定めるのがいいのではないかと思います。

 採用後の雇用のミスマッチによる損失は採用試験の手間とは比較になりません。採用試験はできれば「時間・お金・労力が掛かるもの」と思い定め、構えて実施するのが良いかと思います。

 次回も、高品質を実現する「人材」採用の続きです。性格について考えてみたいと思います。