対象:お客様のファンを増やしたい方 
効果:ファン要素について価格を基準に理解できます

 今回も、お客様にファンになってもらう方法についてです。
 「価格」をテーマに考えたいと思います。
 今回は、企業規模によってなぜ、大企業なら〈大量生産・薄利多売戦略「安く沢山売る」〉、中小企業なら〈少量生産・高単価戦略「売れる量は少なくても粗利が高いものを売る」〉というように採用する戦略が決まってくるのか、数値によって表現してみたいと思います。

 基本的に「安さ」による戦略を採りうるのは大企業です。安く沢山売ることで単品当たりの少ない利益を蓄積していきます。資本力の少ない企業が大企業に対抗するのは困難です。
 例えば、同じX商品を販売している大企業A社とB社が存在するとします。
 X商品を製造するには1億円の設備投資が必要です。それまでは、両社共に単価100円で販売していました。材料費は、1個当たり60円とします。
 この場合、X商品の損益分岐点売上高は

    設備1億円/(1-材料費60円/販売単価100円)=2億5千万円

で、250万個を売れば設備投資分を回収し、あとは収益として蓄積されていきます。
 ここで、B社に差を付けたい大企業A社は、1個100円の販売単価を80円に値下げしたとします。すると損益分岐点売上高は、

    設備1億円/(1-材料費60円/販売単価80円)=4億円

となり、400万個を販売しなければ設備投資分を回収できないことになります。
 そのためには、それだけの個数を売るための販売網を有している必要があり、そのためのコストが増加することになります。
 また、1個当たりの収益が、

    販売単価100円-材料費60円=収益40円

から

    販売単価80円-材料費60円=収益20円

となるため、収益が蓄積され難くなり材料費など費用が賄えなくなるかもしれません。それにより、B社はX商品販売の断念を余儀なくされる可能性が高まります。
 よって、大量生産・薄利多売は、基本的に大企業が取り得るファン獲得戦略ということになります。

 一方、中小企業が採用する戦略は、販売量はそこそこでも高く売る、ということになるかと思います。例えば、販売単価1,000円のY商品が材料費100円で製造できたとします。1個売れれば900円の収益を得られますが、売れるのはせいぜい月1万個だとします。
 つまり、月あたり

    販売単価1,000円-Y商品の材料費100円=収益900円
    収益900円×1万個=月900万円

です。

 大企業A社の従業員は10,000人、B社は10人だとします。月900万円の収益を従業員数で割ると、

    A社:収益月900万円/従業員10,000人=1人当たり収益900円
    B社:収益月900万円/従業員10人=1人当たり収益900,000円

となります。その差1,000倍です。

 そうなると、Y商品の販売は、確かに単品当たりの収益は高額ですが、大人数を抱えるA社としてはあまりインパクトが強くない事業であり、それよりは例え単品当たりの収益は小さくても、大資本の力を利用して大量生産で大きく稼ぐ方が戦い方として向いている、ということになります。

 例えば、販売単価1,000円で材料費が900円掛かったとしても月100万個売れるZ商品があるならば、

    販売単価1,000円-Z商品の材料費900円=収益100円
    収益100円×100万個=月1億円

です。大企業A社に生産力や販売網があるならば、こちらのZ商品を取り扱うかと思います。

 一方で、B社にとっては、Y商品は1人当たり収益が900,000円と大きく、インパクト大です。積極的に取り組んでいきたい商品だと思います。

 以上のことから、中小企業が採用する戦略は、少量生産・高単価ということになると考えます。そのためには、
    ・その商品に対するニーズがある少数の顧客に、
    ・大量生産では実現できない特殊な製品を
    ・こだわりを持って製造する
ことで、ニッチなファンを増やす、ということになるかと考えます。

 次回も、「お客様にファンになってもらう方法」についてです。「接客」について考えたいと思います。