対象:実際に効果がある働き方改革を推進したい方 
効果:成功事例から、働き方改革をどう進めていくか理解できます。

 前回、「道は開ける」D・カーネギー著の内容から、成功者の経験を働き方改革にどう生かすかについて〈今日一日の区切りで生きよ〉をテーマにお話しました。今回は〈仕事の悩みを半減させる方法〉についてです。

・会議で空費していた時間を75%節約し、仕事上の障害を克服。
 一流出版社サイモン&シュスターの総支配人であるレオン・シムキンは、15年間勤務時間の約半分を会議や打ち合わせに使っていました。議論は空回りすることがほとんどで、夜になるとへとへとに疲れていました。
 この状況を改善するため、会議の改革に乗り出しました。

 第一に、失敗の詳細な報告と「何か良い対策はありませんか?」という意見を求める手続きをやめました。
 第二に、シムキン氏に相談がある場合は、以下の4項目について問いと答えを用意しあらかじめ報告しておかなければならない、という規則です。
 ・第一問:問題点は何か?
   問題の核心を明確かつ具体的に把握しないまま議論が続けられていた。
 ・第二問:問題の原因は何か?
   問題の根底にある条件を究明しようとせず、会議の時間を空費させていた。
 ・第三問:いくとおりの解決策があって、それらはどんなものか?
   提案された解決策に反論が加えられ興奮が高まり、しばしば議論は本題をそれ、
   対策が一つも書き留められないありさまだった。
 ・第四問:望ましい解決案はどれか?
   実態を憂慮するばかりで、だれも実行可能な解決法を比較検討もせず、自分の解決
   法を提案する者もいなかった。

 改革の後、シムキン氏のところへ問題をそのまま持ち込んでくる社員はほとんどいません。四つの質問に答えるためには、自分たちですべての事実を集め、その問題をとことん検討してみなければならないことが理解できたからです。また、ほとんどの場合、シムキン氏に相談する必要はなくなってしまうわけです。相談する必要が生じた場合でも、話し合う時間は従来の三分の一で十分です。話し合いは順序を追って進められ、筋の通った議論を経て、合理的な結論に到達できるからです。

〈私見〉
 議論を重ねても、解決策が打ち出されない会議からは徒労感しか生まれません。それは、会議のルールやフォーマットが無い状態で開催されることが一因です。失敗報告の取り止め・まず意見を求めることの取り止め・問題点明確化・原因明確化・複数の解決策の内容説明・望ましい解決策の提案、という一連のルールは誠に秀逸であると感じます。
 また、この内容からは、会議の効率化の他、「自分で考えることの重要性」を伺うことができます。改革する前は、ほとんどの方が自分の意見を持たず、「会議によって何か有効な解決策が生まれるんじゃないか」といった漠然とした気持ちで参加されていたのではないかと思います。ただ、一流出版社でのエピソードであり、そもそも優秀な方が多かったのではないでしょうか。不在だったのは「自分でまず考える」仕組みであり、会議のルールは見事にその流れを作り出すことができました。
 会議により生ずる負担は、様々な業種で課題だと思います。実際、働き方改革でまず取り組まれるのが会議の効率化である企業は多いかと思います。一例として世界No.1のモータメーカーである日本電産では、会議に年間6,400時間を費やしていましたが、会議の改革により半分に減らし、業績アップに好影響を与えました。

 会議が与える影響は、
  ・通常業務を圧迫
  ・帰宅時間を遅らせる
  ・疲労感の増加
などがあります。
 また、労働時間は費用なので、会議を開催することで参加している職員の人件費が会議に費やされることになります。
 (毎月の総支給額+事業所負担の社会保険料等)÷労働日数÷労働時間=実時間給
の式で実際に事業所が負担する時間給が割り出されますが、それに参加者それぞれの実時間給と会議の時間を掛ければ、どれ位会議により人件費が発生しているかが分かります。給与水準が高い方が参加した場合は、結構大きな費用になります。
 もちろん必要な会議はありますが、
  ・会議は物品を購入するのと同様、費用が掛かっている
  ・会議の間は通常業務は進まない
  ・不要な会議は職員の方のモチベーションを下げる
などの視点から、なるべく会議は開催しない、してもなるべく早く終わる工夫をすることが、働き方改革を遂行する上で重要と考えます。