対象:効率的に防災用品データを管理したい方 
効果:防災用品にどれ位の費用が掛かるのか理解できます。

 今回も、防災用品データをいかに管理するかについてです。前回「防災用品データをいかに管理するか(5)防災用品の費用を具体的に考えてみます1」(〔身を守る〕○防護用具 の項目)の防災用品一覧に基づいた、防災用品に掛かる費用についてです。

〈前提条件〉
 前提として、
  ・対象は病院
  ・職員は400名
  ・出勤している職員は平均300名
  ・患者様は350名
  ・震度6強の地震が発生
  ・建物の一部から火災発生
  ・建物の一部が損壊
  ・天井部材の一部が落下
  ・スチール棚など備品の転倒
  ・停電(2週間停電)
  ・上水道停止(2週間停止)
  ・下水道停止(1カ月間停止)
  ・ガスの停止(2週間停止)
  ・エレベーター停止
  ・携帯電話・メール不通
  ・3日後に救援物資が届く
などの条件下において対処するための装備・備蓄について考えます。

〔身を守る〕
 ○防護用具
   防護用具で掲載した商品は、

〈物品〉 〈用途〉
ヘルメット 頭を守る
ゴーグル(防煙) 煙から視界を守る
ゴーグル(防塵) 粉じんから視界を守る
マスク 煙や粉じんから呼吸を守る
軍手 手を守る
耐刃手袋 瓦礫や釘などから手を守る
耐熱手袋 熱い物から手を守る

などのために使用します。
 それぞれの価格は、

〈物品〉 〈価格〉
ヘルメット 3,273 円
ゴーグル(防煙) 1,350 円
ゴーグル(防塵) 906 円
マスク(50枚) 1,880 円
軍手(12双) 1,843 円
耐刃手袋 799 円
耐熱手袋 1,780 円

です。
 災害発生から3日後に救援物資が届くと仮定し、
   ・マスクは1人、1日1枚使用
とするならば、
   ・マスク:400人×3枚(3日分)=1,200枚
となります。
 防刃手袋は瓦礫の撤去、耐熱手袋は熱を帯びた物をどける役割を担う方にとっては重要ですが、それ以外の方に関してはそこまで必要ではないかもしれません。防塵ゴーグルも、瓦礫の撤去などで粉じんが大量に発生する現場で作業をする方以外は使用しない可能性があります。ここでは、瓦礫の撤去などを担う担当を事務職や営繕とし、40人ほどで対処すると仮定します。
 また、防煙ゴーグルは煙の中で視界を確保するための物品であるため、災害発生時に火災現場から脱出した後はそれほど利用することはないのではないでしょうか。よって、職員全員に配賦するのではなく、出勤している職員に行き届く数を用意しておき、いざという時すぐに取れる分かりやすい位置に配置しておくのが、経済的にも有効かもしれません。ヘルメットも同様に、災害発生時における落下物から身を守るのが主な役割と考えます。出勤している職員分を用意し、同様にいざという時すぐに取れる分かりやすい場所に配置しておくことを想定します。
 よって、各物品の準備しておく個数は、

〈物品〉 〈必要数〉
ヘルメット 300 個
ゴーグル(防煙) 300 個
ゴーグル(防塵) 40 個
マスク(50枚) 1,200 枚
軍手(12双) 400 双
耐刃手袋 40 双
耐熱手袋 40 双

となり、値段換算すると、

〈物品〉 〈必要数の価格計算〉 〈必要数の価格〉
ヘルメット 300個×3,273円 981,900円
ゴーグル(防煙) 300個×1,350円 405,000円
ゴーグル(防塵) 40個×906円 36,240円
マスク(50枚) (1,200枚÷1セット50枚)×1,880円 45,120円
軍手(12双) (400双÷1セット12双)×1,843円 61,434円
耐刃手袋 40双×799円 31,960円
耐熱手袋 40双×1,780円 71,200円

          ・防護用品 合計:1,632,854円

ということになります。
 ここでお話したのは防災用品の購買の一例です。より経済的でその施設の実情に適した考え方もあるかと思います。次回以降も用途ごとに防災用品の費用についてお話していきたいと思いますが、あくまで参考として捉えていただき、ご自身なりの最適解を考えていただければと思います。
 次回に続きます。